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2013年2月15日金曜日

厚生労働省も認める勤労者所得増加の必要性と重要性


以下は、厚生労働省の発表した「労働経済白書2012年版」からの引用です。

(引用開始)
「バブル崩壊後の雇用者所得の減少の最大の要因は、非正規雇用者の増加であった。長引く低成長や国際競争の激化に伴う企業のコスト削減及び弾力化のニーズにより相対的に賃金の低く雇用調整が容易な非正規雇用者が趨勢的に増加してきたと考えられる。
 しかしながら、相対的に賃金水準の低い非正規雇用者の増加は、雇用者所得の低下を通じて消費を押し下げる大きな要因となっていることも認識する必要があるだろう。すなわち、人件費の削減が所得の減少を通じた消費の伸び悩みにつながっており、コストを削減したらモノが売れなくなったという、いわば「合成の誤謬」が発生しているものと考えられる。
 経済成長は短期的には需要、長期的には供給で決定されると言われ、経済を考える際には需給両面を考慮する必要があるが、短期的な需要の低迷がさまざまな形で長期的な供給面へも悪影響を及ぼし、潜在成長率及び実現された成長を下方屈折させた可能性があるのではないだろうか。
 逆に、賃金の引き上げは消費の拡大を通じて、経済全体にもプラスの影響があることを社会全体で認識すべきである。消費については、世帯数の増加や金融資産が所得の減少と比較して消費水準を下支えしていた面があるが、やはり最も大きな要因は所得の増加である。
 また、非正規雇用者でも約半数は主たる生計者として家計を支えるようになっており、その割合も傾向的に上昇している。常用雇用的に働く非正規雇用者も増加しており、非正規雇用者は家計補助的な働き方が中心という時代から変わりつつある。これらの労働者が一定水準以上の生活を送ることができる社会を目指すべきである。
 労働者の意欲と能力を十分に発揮できるためにも、個人が多様な就業形態を自ら選択できるような社会を目指すべきであるが、多様な就業形態が進む中でも、正社員を希望する非正規雇用者が2割以上存在し、こうした者が正社員になれる道を大きくしていく必要もある」(労働経済白書193頁)
(引用終了)

 皆さん、これを読んでどう思われるでしょうか? 私がまず感じたのは、官庁文書でなにかと「お気楽感」のある文章だな、と思いました。非正規雇用者の増加が、いつどのようにして図られたか、具体的に言及されていないので、あたかも最近の現象のように書かれています。現在、非正規労働者1756万人、全労働者の35%以上を占めるに至っています。労働者派遣法が製造業まで対象とされ、爆発的に広がったのです。大企業の国際競争力論と共に、低成長でも利益確保を、という財界の圧力で進められたのでした。そのことがまるでオブラートに包まれているようにしか書かれていません。現在、資本金10億円以上の企業の内部留保は260兆円となりましたが、これは明らかに労働者の犠牲、下請企業に対する単価切り下げの影響です。
 又、雇用者所得の減少が消費の減少につながっており、所得増加が経済的にプラスであることを社会全体で認識しようなどと、財界や歴代政府をあたかも免罪するような文章です。最もそこまで書くのは官庁では無理なのでしょうが?

 批判を書いてしまいましたが、そのことを除けば、あたかも日本共産党の政策が如何に正しいかを官庁自ら認めていると言えます。

 

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