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2018年1月28日日曜日

中央銀行は財政の「打ち出の小槌」?「経済を読む会」浜矩子×小森陽一対談からの抜粋②

小森 政権と日銀は一蓮托生ですか。
 浜  一番あってはいけないこと一蓮托生関係が事実上成立しています。…国債は国の借金です。だから世界的に国債は「安全資産」ということになっています。国が借金を踏み倒すなんていうことはありえない。だから国債はゼロリスク資産とみなす。・・・ですが、実態は全く違いますよね。・・・多くの国々が債務不履行を起こしてきました。(例えばアルゼンチン) ですから、国債は明らかに完璧な安全資産ではない。・・・会計原則上、国債はゼロリスク資産として扱うことになっている。・・・この原測については見直し論議もあります。・・・現実に、国債に対する投資家の姿勢は変わってきている。・・・特に日本国債については、今や、日銀以外の日本の金融機関の国債保有比率が戦後史上最低になっている。金融機関が国債を買わなくなっている。
 
 かつて国債を銀行が買うと言ってきた時があつた。銀行の頭取は「早く"玉“を寄こせ」と言ってきたのである。国債は安全な金融資産、それを買うことは銀行にとっても儲けるチャンスなのだ。しかいここにきて金融機関は、「国債は危険」と思っているのではないか? その分、日銀が必死になって国債を買いあさっている。こうなると、次第に政府は市場で国債を売るための努力する必要がなくなってしまう。しかし、国が国債を売り出すわけで、銀行が買い手になることが義務付けられており、日銀がその銀行から買うわけだ。日銀としては、あっという間に銀行から国債を買うという事があったとしても、政府としては日銀様々であることには変わりはない。赤字財政をすすめる政府にとってはこんなありがたいことは無いのである。これこそ、のみの心臓”が暴走する所以である。国会を開かず、海外では大判振る舞いをする。アメリカからの武器輸入、イバンカに58億円、アフリカにも3兆円を出したしね。マスゴミは政府を非難することは全くない。忖度だけがマスゴミの仕事だと思っている。特に読売、サンケイなどだ。麻生は「みぞうゆう」といって顰蹙を買ったが、心臓は「云々」を間違えて「でんでん」と言った。こんなにも教養のない人間がいるのかと思う。

小森 国会での予算審議を省略したくなってくるわけですね。20176月、共謀罪が成立された時に、委員会採決を省略して、「中間報告」という方法で本会議採択に付したことがありましたが、あれに似たような状況が起こらないとも限らないという事ですよね。
 浜 ・・・あれより、もっとヒドイ状況になってくるでしょう。あれはいわば禁じ手の突発的敢行でしたが、・・・国会審議も経ず、市場に出て行く必要もないとなれば、・・・何も時間と労力を費やして国家予算などという面倒くさいものを取りまとめる必要はありません。
 
悪代官=政府、越後屋=日銀が相対取引をするようになれば(それは確かに禁じ手だが)、我々の目の前から国家予算というものが無くなってしまう、という事。そうなれば政府がどれだけカネを使おうとしているのかが全く分からなくなる。福祉のためのカネを全く使われなくなったり、軍備増強のために巨額のカネが、政府の意向でのべつ幕無しで渡っていることになりかねない。相が財政法の精神に反して。
 

小森「なるほど、そういう国家は、戦争も、いわば「やりやすい」国になりそうですね。」
 浜 「そうです。悪代官・越後屋関係が制度的に確立するというのは、要するに中央銀行が政府の御用銀行化することを意味します。中央銀行が正々堂々と政府のためにカネを振り出す打ち出の小槌となる。・・・そんなことになれば、ファシズム体制の確立です。独裁国家においては中央銀行の独立性は必ず消滅します。」
 
 201737日付の「日本経済新聞」を見ると、「『政府と日銀は親会社と子会社みたいなもの。連結決算で考えてもいいんじゃない』。昨年秋、首相は与党議員にこんなアイデアを語った」というくだりがあった。浜さんに言わせれば、この物言いには「唖然とし、これぞ中央銀行が政府の御用銀行化している姿にほかなりません。」 これは財政法第5条の違反?
5条 すべて、公債の発行については、日本銀行については、日本銀行にこれを引き受けさせ、また、借入金の借入については、日本銀行からこれを借り入れてはならない。但し、特別の事由がある場合において、国会の議決を経た金額の範囲内では、この限りではない。
 とある通り、いまの国会の状況であれば、このような議決は簡単に出来てしまう。この金融と財政の一体的運営を打ち出してくるか、それを警戒すべきだ。中央銀行は世の中に出回るおカネの量をどれだけにするかを決定し、民間の銀行に現金を供給するのが仕事である。「政策金利」を決定することも中央銀行の仕事である。しかし、先の白川総裁を辞任に追いやり、黒田が出てきて、それが出来ないようにしてしまった。今の日銀は、中央銀行としての仕事より政府のための御用銀行として働くことばかり力を入れている。欧米の中央銀行は、何とか金融政策を正常化しようとしているし、異常な金融政策からの「出口戦略」を模索している。しかし、日本は違う。国は消費税などを増額して、税金を増やす政策だが、それでも間に合わない。税金で賄うことが出来ている財政支出は、歳出総額の6割強にしかならない。また円安による企業収益のかさ上げ効果もなくなりつつある。借金に依存する度合いは高まる傾向にあるので、政府が「金融と財政に一体運営」を目指す所以である。




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